刑事事件における弁護士の役割とは、主に、犯罪の嫌疑をかけられている被疑者(俗にいう容疑者)や被告人(起訴された人)の味方として警察や検察と闘うことです。
一個人や企業など同士の争いである民事訴訟と異なり、刑事訴訟では、個人が警察や検察という実質的に国と闘わなくてはなりません。また警察は捜査におけるプロであり、検察官や最終的に有罪無罪の判断をする裁判官も法律のプロであるなど、被疑者や被告人はプロと闘わなければならないこととなります。その闘いの中で、冤罪の発生を防止し、不当な刑罰から被疑者や被告人を守る存在が弁護士なのです。
実際に、憲法で被告人への国選弁護人の選任が権利として認めらており、現在では刑事訴訟法により被疑者の段階でも一部国選弁護人の選任が可能であるとされ、さらに一部の重大な事件においては弁護人なしで刑事裁判を行うことができないと定められていることからも、弁護士の役割の重要さが分かります
刑事事件において、弁護士が行う仕事は、事務的なものから法廷での弁護活動まで多岐に渡ります。具体的には、逮捕された場合の家族とも面会できない被疑者への法的アドバイスや被疑者と家族との間の連絡役、身柄解放に向けた活動が挙げられます。また、逮捕されているか否かに関わらず、被疑者や被告人の正当防衛などにより無罪の証明や刑の減軽を目的とした証拠の収集や、被害者との示談交渉も、弁護士の仕事となります。そして、最終的に刑事裁判へと至ってしまった場合に、法廷で被告人のために弁護活動を行うのです。
刑事事件においては、いち早く弁護士に弁護を依頼することが大切となります。これは、事件から時間が経過してしまうほど、証拠の収集しにくくなり、無罪や刑の減軽の主張が難しくなるためです。また前科のつかない不起訴処分を得るためには、示談を起訴までに成立させることが重要であるため、交渉期間を確保する必要があることなども理由として挙げられます。
刑事事件で弁護士に依頼するメリットは加害者だけでなく被害者にもあります。
刑事事件の被害者は加害者から示談交渉の申し入れをされることがあります。直接加害者会いたくない場合や、煩雑な交渉をしたくない場合、相場が分からない場合などには、弁護士に示談交渉を依頼することによって、安心して、煩雑な手続きを自身ですることなく、適切な内容での示談を成立させることができます。
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