遺言書によって、最低限の取り分である遺留分を侵害されたときには「遺留分損害請求」を行うことができます。
この記事では、遺留分侵害額請求の意味や手続きの流れ、時効について解説します。
遺留分侵害額請求とは
遺留分損害額請求とは、被相続人が第三者に遺贈や贈与したことが原因で、遺留分権利者が本来相続すべき遺留分を受け取れなった場合に遺贈や贈与を受けた人に対して遺留分を侵害されたとして請求することです。
遺留分侵害額請求の流れ
遺留分損害額請求の流れについて解説します。
侵害している相続人と話し合う
まずは遺留分を侵害している相続人に連絡を取り、侵害されている金額を明確にした上で自身の遺留分をもらえるように直接話し合って交渉します。
話し合いがスムーズに進んで快諾してもらえることが望ましいですが、トラブルに発展しそうなときは弁護士に相談しましょう。
内容証明郵便で請求する
話し合いで解決しないときや話が前に進まないときは、内容証明郵便を送付します。
内容証明郵便を送る理由は、「第三者が贈与または遺贈したことによって、自分が受け取るべき遺留分が侵害されている」という明確な意思表示と裁判に発展した際に証拠として活用できるからです。
調停による遺留分侵害額の請求
いくら話し合っても解決しない、話し合いに参加しない場合には、家庭裁判所に遺留分侵害額の調停を申し立てましょう。
基本的に調停の申立ては、相手側の所在地にある管轄の家庭裁判所で行い、調停委員を交えて相手との話し合いによって解決させます。
訴訟による遺留分侵害額の請求
調停でも解決しないときは、遺留分を侵害されている相続人が原告となり、裁判所に対して訴訟を起こさなければ解決できません。
遺留分侵害額の請求は、以下の金額を境に訴訟を起こす裁判所が異なるので注意しましょう。
- 140万円以内:簡易裁判所
- 140万円以上:地方裁判所
遺留分侵害額請求の時効とは
遺留分侵害額請求には以下の時効があるので注意してください。
- 相続の開始と遺留分侵害の贈与があったことを知ったときから1年間行使しないとき
- 相続の開始から10年を経過したとき(除斥期間を経過するため)
(出典:e-eov法令検索 民法 遺留分侵害額請求権の期間の制限 第1048条)
除斥期間とは、一定の権利について法律で認められている期間であり、定められた期間を経過すると権利は消滅します。
遺留分侵害額請求には時効があるため、遺留分を侵害されていると気付いたときには請求に向けて速やかに行動することが大切です。
まとめ
今回は、遺留分侵害額請求の意味と手続きの流れ、時効について解説しました。
遺留分侵害額請求とは、自身の相続が他の相続人よりも少ない場合に、多くもらっている人に対して自身の遺留分を請求することです。
話し合いで解決すれば裁判沙汰に発展せずに済みますが、相手に応じてもらえなければ訴訟を起こすしかありません。
裁判になれば、ご自身一人でどうにかできる問題ではないため、早めに弁護士に相談することをおすすめします。